ゴジラ、龍が如く、そしてサイバーパンク:歌舞伎町のNFLスターたち
写真展示企画10
日本最大級の歓楽街とも言われる新宿歌舞伎町。不夜城とも称され、独特な猥雑な雰囲気はゲーム「龍が如く」シリーズや映画「ロスト・イン・トランスレーション」の冒頭にも使われています。 ネオン輝く街並みと高層ビルの対比は「ブレードランナー」の世界観やサイバーパンク小説『ニューロマンサー』の“チバシティ”のような情景も思い起こさせます。 NFL選手にとっては異国情緒たっぷりなこの町を彼らは写真でどうやって切り取ったのでしょうか。
English Version (AI Translated)
歌舞伎町の成り立ちは第二次世界大戦の空襲で焼け野原となったこの地を復興させるため、家族が楽しめる芸能都市をコンセプトとした都市計画に端を発します。 その中心が歌舞伎座の誘致で、これにちなみ現在の歌舞伎町の名前が誕生しました。 残念ながら歌舞伎座を呼ぶことはできませんでしたが、映画館、劇場、ボウリング場、ゲームセンターなどの大衆娯楽施設が集まりました。 その後テレビの普及などにより客足の鈍りが起こり、また当時の芸能興行はトラブル解決のため裏社会のヤクザと親和性が高く 徐々にナイトライフの街へと変化していくことになります。ヤクザ社会を描く「龍が如く」が歌舞伎町を舞台にすることはごく自然なことだったのです。
1.歌舞伎町一番街
エイダン・ハッチンソン
歌舞伎町のシンボルともいえる一番街の入口のアーチ下で撮られた写真です。ゲーム『龍が如く』シリーズにおける「神室町天下一通り」の天下一通り神門の元ネタです。
奥側には大型のビジョンが見えており、ハッチンソン選手達がそちらに向かっているシーンが収められています。
歌舞伎町からこれから出ていき、非日常から現実への境目にまたぐ瞬間を切り取った写真と言えましょう。

KJライト
同じく歌舞伎町一番街のアーチ近くで撮影されたものです。写真奥に見えるHUMAXという看板が見えますが、戦後すぐに劇場や映画館を開業し、歌舞伎町を「興行と娯楽の街」として発展させた中心的な企業が運営するビルです。
現在もボウリング場、格闘技興行の会場などが存在し、歌舞伎町のレジャー史そのもののシンボル的建物と言えます。

ザック・ハリソン
同じく歌舞伎町一番街通りをアーチから奥に進んだカット。乱立する看板の大小や角度はバラバラですが、視線は自然と突き当りのHUMAXビルへ吸い込まれていきます。頭上から足元まで密集する看板群の圧倒的な情報量に、歌舞伎町という街の濃密なエネルギーが凝縮されています。

マリク・ターナー
先ほどの写真とはほぼ同じ位置から取られた写真ですが、時間帯が夜に変わったことで一気に印象が変わります。路地全体が「光の壁」に囲まれたトンネルのような迫力を生んでいます。外国人観光客を含む多くの人の姿が確認でき、「眠らない街」の熱量が凝縮された素晴らしいカットです。

クエンティン・レイク
こちらも同じ地点からの写真ですが中央に一人レイク選手が配置されています。左右から押し寄せる異国の言語の看板の中、どこへ向かうべきか探るような見知らぬ街への困惑・茫然を、2枚目は一人雨傘を刺さずに歩く姿も異国での絶対的な孤独を感じさせます。
雨に濡れた地面に反射する滲んだネオンの光も含めて、映画「ロスト・イン・トランスレーション」のワンシーンのようなドラマチックな写真です。


セントラルロード
歌舞伎町一番街通りから1つ東側の通りです。再開発により道路が幅広になり、奥側には映画館やホテルが入る新宿東宝ビルで、東宝のシンボルともいえる巨大なゴジラの頭のオブジェクトが鎮座します。 近年の歌舞伎町浄化&再開発の象徴ともいえる通りです。
オグボ・オコロンコ
セントラルロード入口付近で撮られた写真です。奥側に映る華やかな電飾のお店はドン・キホーテ。24時間営業で歌舞伎町が持つ「過剰な消費文化」のアイコンの1つとも言ってよいでしょう。
『龍が如く』シリーズファンなら回復アイテムを買う場所としてもお馴染みの場所でもあります。

ザック・ハリソン
セントラルロード入口から新宿東宝ビル方向へ進んだ場所で撮られた写真です。写真中央左側に少しゴジラの頭が映っています。
一番街と比べると街路樹や広い道路など見られ観光客やファミリー層でも安心して歩ける歌舞伎町の表参道へと再開発されたエリアであることが分かります。
日本人の目から見るとチェーン店の看板も多数見られ相対的な安全を感じられるエリアです。

ジャクソン・ホーズ
セントラルロードをさらに新宿東宝ビル方向へ進んだ場所での写真です。はっきりとゴジラヘッドの姿が確認できます。
カメラを極限まで上に向け、縦の画面いっぱいにビルを捉えることで、自分自身がゴジラの襲来を路上から見上げているかのような圧倒的迫力と没入感が生まれています。

マイク・グリーン
撮影場所は先ほどとほぼ同様ですが、印象はがらりと変わります。グリーン選手自身の背中を捉えつつ、左右の建物と路面の舗装が奥のゴジラヘッドに向かって見事な一点透視のパースラインを作っています。あえてローアングルにせず人物の主観視点(POV)を活かしたことで、街並みそのものが主題として際立つ構図に仕上がっています。

マーション・リンチ
同じくセントラルロードですが、撮影者は新宿東宝ビルを背後に新宿駅方向をむいて撮れたものです。リンチ選手の自然な足取りや、横を歩く同行者の視線など昼の歌舞伎町の雑踏の中をリラックスして観光するグループの空気感がリアルに伝わってきます。
私からするとスーパースターが見慣れた光景にいるという不思議な気持ちになる写真です。

レナード・ウィリアムズ
リンチ選手とほぼ同じ場所でのカットですが、こちらはウィリアムズ選手一人にフォーカス。あえて彼の上半身だけを大きくフレームに収め、澄み切った昼の光のもとでビル群を見上げる構図にすることで、歌舞伎町らしからぬ爽やかな都市スナップに仕上がっています。彼が視線を向ける先には『すしまみれ』の文字。見慣れない日本語の看板に異国情緒を感じ、好奇心を惹かれている様子がリアルに伝わってきます。

ジェイリン・ホーキンス
セントラルロード入口を大通り(靖国通り)を挟んで取られた写真です。歌舞伎町のランドマークの1つであるドン・キホーテの鮮やかな赤・黄色、セントラルロード内部のネオン群、画面奥のゴジラヘッドまで「不夜城のスケール感」が見事に表現されています。

デヴィッド・モンゴメリ
同じく靖国通りを挟んだ交差点から撮影されたもの。手前の新宿駅という日常側と奥側の歌舞伎町という非日常を分かつ境目の上に立ち、光り輝く街を見つめる背中が非常にシネマティックです。 これから歌舞伎町のネオンの海へ飛び込んでいく直前の期待感や高揚感が凝縮されています 
3.桜通り
セントラルロードから東側に1つ隣の通りです。セントラルロードは再開発で変わりましたが、桜通りと最初に紹介した歌舞伎町一番街は依然と雑踏の雰囲気を残しています。
アレク・ピアース
狭い通り左右から迫るビル群の圧迫感を感じさせます。見える看板も性風俗店のものが確認でき、再開発前の従来の歌舞伎町の姿が見られます。
右側には既に閉店した「ロボットレストラン」の看板も見えます。新宿歌舞伎町=サイバーパンクのイメージを決定づけた伝説的な観光スポットでした。

マリク・ターナー
さくら通りをゆく人波と、路地にひしめく鮮やかな看板群。セントラルロードのクリーンな雰囲気からほんの数十メートル移動しただけで一気に顔を出す、歌舞伎町本来のディープで熱量の高いストリートスナップです。

4.新宿東宝ビル周辺
ダバンテ・アダムス
新宿東宝ビルの西側に広がる広場、通称トー横での撮影です。トー横は近年の歌舞伎町において若者カルチャーや治安・社会問題を象徴するもっともディープで複雑な現代的スポットです。
背景の中央には壁面に描かれた巨大なゴジラのビジュアルとホテルグレイスリーのタワーが鎮座し、その手前でフェンスに腰掛けるアダムス選手を捉えた、カルチャー的・社会的に極めて意味深い一枚です。

アイザイア・シモンズ
新宿東宝ビル近くの鶏闘士さん前で撮られた写真です。背後の力強い漢字看板と、車止めの上でバランスを取りながら武道や禅を連想させる合掌ポーズが絶妙にマッチし、歌舞伎町の路地裏を舞台にした一幕のコンテンポラリー・アートのような独特の存在感を放っています。

ヌチェンナ・ヌウォーシー
魚眼レンズの強い歪み効果を利用することで、ヌウォーシー選手を中心に据えつつ、背後に聳え立つ雑居ビルとネオンサイン群を包み込むように捉えています。
歌舞伎町の夜の経済やナイトライフを最もド直球に象徴する「無料案内所」の派手なネオンサイン。あえてその真下に身を置くことで、歌舞伎町という街の持つアングラ性を前面に出したストリートフォトになっています。

まとめ
一番街のアーチから始まり、セントラルロードの開放感、さくら通りのディープな路地、「無料案内所」前まで、歌舞伎町という街の多層的な魅力とアスリートたちの存在感。 異国の中での寂しさも感じさせる写真、歌舞伎町の観光スポットとしての魅力からよりディープなアングラ感も記録された面白い写真が多い回でした。